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マタタン島、戦いの跡は今 ? マタタンにいた「レンジャー部隊」

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   84年頃だったと記憶しますが、今のシャングリラ・ホテルから少しプンタ・エンガニョ岬の方へ入った辺りに、対ゲリラ戦用に鍛え抜かれたフィリピン軍の精鋭「レンジャー部隊」が駐留していました。彼らはミンダナオ島、スルー諸島などで「モロ民族解放戦線」などイスラム徒族との血なまぐさい戦闘を経た生き残りの精鋭でした。
   一見しただけでも普通の兵隊と人相も服装も違いました。血なまぐさい戦場から帰ったばかりという雰囲気を周囲にまき散らしていました。隊長はサパンディハ(Sabandija)という大尉でした。隊長以下全員が髪の毛を長く伸ばしたままで切ったことはないという。長髪、髭もじゃで真っ黒に日焼けして眼光鋭く、戦闘服を着て街中を歩くわけですからいやでも目立ちます。一般市民も彼らには一目置いて「敬して遠ざける」という感覚のようでした。最初セブ市中でトラック上に仁王立ちした彼らを見たときは、またクーデターかとビックリしたものでした。それほど凄まじい雰囲気を漂わせていましたが、事実、数週間前まではミダナオ島各地で、現実に人殺しの戦いを続けてきた連中ですから「サモアリナン」ということでした。彼らは、生死が紙一重の戦場にいたわけですから迷信深くなっており「長い髪の毛が力の源泉」だと信じ切って、絶対に髪の毛は切ろうとしません。だからいつまでも凄まじい雰囲気を失いませんでした。

レンジャー部隊は密輸で食う
   当時はマルコス政権の末期で、軍の給与もままならずミンダナオで命をかけて戦って一時の休息を求めてセブへ駐留したのに、食うにも食えない状況に放り出されて、サバンディハのグループは「自立」の道を求めて歩き始めたようです。
   それからは、もう政府側や軍から何を言ってきても「全く聞く耳を持たない治外法権グループ」となっていきました。厳しい訓練で鍛えられた頑健な身体、実弾を打ちまくった戦闘体験、選ぴ抜かれた頭脳などなど「もう怖い者なし」です。彼らは「ミンダナオから来る密輸ラタン材の搬入」、「密猟の珊瑚」をマクタン島に陸揚げして、堂々とセブやマンダウェの工場や業者に届けて護衛の役を果たして稼ぎに稼いだのです。マンダウェ大橋にチエック・ポイント(検問所)がありましたが、このレンジャー部隊が来れば反対側を向いて知らん顔です。ラタンを満載したトラックの上に立ちはだかって機関銃を構える怖い顔のレンジャーには誰も立ち向かえません。マクタン島には空軍基地もあり、政府軍もいましたが、レンジャー部隊の基地はまるごと治外法権下にあるというのが実態でした。

ダイナマイト漁の虚実
   当時レンジャー一味の駐留するプンタ・エンガニョ岬の沖合いでは毎週のように日曜日にダイナマイト漁が行われていました。私はこの地城に住むアメリカ人の友人宅へ日曜日毎に行っており、サパンディハとも知り合ってましたから裏も表も知ってました。
   ダイナマイト漁は仕事もなく貧しいプンタ・エンガニョの人々にとっては唯一に近い現金収入の道で、これを官憲の取り締まりから守ってくれるレンジャー達は住民・漁師にとっては守り神のように思われていました。今日は何時頃ダイナマイトがどの辺で爆発するか誰でも知っていました。いつかの新聞紙上でダイナマイト漁はその地区漁民の知らない他地区からの密漁だとまことしやかに書かれてましたが、これは「タテマエ」でしょう。仕掛けた漁師は悪くすれば手が吹っ飛ぶ危険をおかしてのことですから、爆発後に浮かび上がる魚を手づかみでとる優先権があります。爆発音がするや待ち構えた地元住民の若い衆が抜き手を切って泳ぎよって来ます。早い者勝ちの世界です。何が他地区からの密漁なんかでありましょう。

レンジャー達の戦死
   マルコス政権の凋落と、マスコミが治外法権扱いのレンジャー部隊を激しく攻撃したため、ついに重い腰を上げた国軍がプンタ・エンガニョへの総攻撃を仕掛けました。勇猛の名を馳せたサパンディハグループもこれには多勢に無勢、多数の戦死者を出してトレド方面へ敗走し、それ以後声を聞きません。今では平和な観光地セブを代表する豪華リゾート、シャングリラ・ホテルの直横で、ふた昔前には戦闘があったのです。

岡 昭 (日刊マニラ新聞セブ支局長)
ナビ・マニラ第4号[Navi Manila Vol. 4]より

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