リゾートアイランド・セブのこだわり生活情報誌

ちょっと足を延ばしてカルカルへ

「歴史と芸術の街」を歩いてみよう St. Catherine of Alexandria Church

 St. Catherine of Alexandria Church
   セブ市内より南に約40キロ、歴史の街カルカル市にある聖カタリナ・アレクサンドリア教会。アウグスティノ修道会が1859年に着工し6年後に完成させた教会だ。ビザンティン建築様式の影響を残しているとされる。
「セブのヘリテージタウン」、カルカル

   セブ市内のバスターミナルでバスに乗り、東海岸に沿って南へ走ること約1時間、アメリカ統治時代の古い建物が残る歴史の街、カルカル市に入った。南へ向かう国道を右に折れて坂道を進むと、セブ島の西側の町、アロギンサンやモアルボアルへと島を横断する山越えの道になる。セブ市から約40キロ南にあるカルカル市はセブ都市圏を構成する一市で、2008年7月、町から市に昇格した。カルカルは古い時代から旅人が行き交った街道沿いの街として栄えてきた場所で、海に近いことから、ミンダナオ島のイスラム教徒の襲撃をたびたび受けた。
 スペイン北部にある小さな町の名前をとったカルカルはスペイン時代の末期からアメリカ時代にかけて、サトウキビやココヤシなどの輸出用作物を栽培した農園主の大きな建物がたくさんあった。今もその邸宅の一部が市内のあちこちに残っており、街の観光名所になっている。
 このためカルカルは、北ルソンのビガンやネグロス島バコロドの近くのシライ、そしてバタンガス地方のタアルなどスペイン時代に栄えた町と並んで、「セブのヘリテージタウン」と呼ばれている。町の人たちもそう呼ばれることを誇りにしている。

教会前広場は国道から30メートルほど坂道を登ったところにある

「カルカルの父」、メルカド町長

   この町にも「ドン」という敬称で呼ばれた金持ちや名士がいた。中でも、1922年に町長になったドン・マリアノ・メルカドは「カルカルの父」と今でも称えられるほどのやり手で、現在カルカル博物館になっている、住民のための養生所(Dispensary)を1929年に着工、約8年をかけて完成させている。アメリカは英語教育以外に公衆衛生の制度をフィリピンに持ち込んだとされ、この養生所は役割りからいえば診療所というより現在のヘルスセンター(保健所)に近く、地元の母子の健康管理に大きく寄与した。カルカルの養生所はアメリカのもとで住環境が整備されていくビサヤ地方の象徴となったようだ。2008年の市昇格と同じ日に、町の歴史を保存しようと養生所だった建物はカルカル博物館として生まれ変わった。
 ステンドグラスがはめ込まれたアーチ型の採光窓や開放感あふれるバルコニーなど、かつては養生所として衛生状態に気を配った風通しのよい館内には、古い写真や農具、「カルカル学院音楽隊」の古い楽器などが展示されている町の歴史館である。ぜひ立ち寄ってみたい。

国道沿いにあるメルカド家の旧邸

ビザンティン様式の聖カタリナ教会

   国道の右手の丘の上にはカルカル市のシンボルである聖カタリナ・アレクサンドリア教会が遠くに海を見下ろすように立っている。アウグスティノ修道会が1859年に着工し6年後に完成させた教会だ。屋根の両側に二つの尖塔をもつ、フィリピンでは珍しいビザンティン建築様式の影響を残しているとされる。教会と博物館にはさまれてあるのは1923年に開校した女子の高等教育機関、聖カタリナ学院の建物だ。ベルギー人の修道女が学院の初代校長を務めた。

学者や芸術家を輩出したカルカル

   カルカル市民のもうひとつの誇りは、この町がたくさんの文学者や芸術家を輩出していることである。1909年に最初のセブアノ語辞書を著した文学者のホセ・ガリカノはカルカル出身で、スペインの古典文学をセブアノ語に翻訳するなどの業績を残した。
   地元のアベリャーナ家は芸術家の家系として知られている。1911年生まれのラモン・アルコセバ・アベリャーナ博士は彫刻家として有名で、カルカルの国道沿いにある円形交差点「ロトンダ」のキオスクの女性像などたくさんの作品を手がけた。3歳年下の弟マルティノ・アベリャーナは1930年代に奨学金を得てマニラのフィリピン大学に進学、フィリピン画家の巨匠、フェルナンド・アモルソロの元で学ぶという幸運を得ている。マルティノは後に「セブアノ画家の権威」と呼ばれるようになった。父のテオフィロも地元の校長でかつ彫刻家として活躍しマルティノらに大きな影響を与えた。彼らの業績はすべて、カルカル博物館に展示されている。

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国鉄駅舎が残るカルカル、チチャロンと靴が町の特産品

   戦前は北はダナオから南はアルガオ町までセブ島の東海岸沿いに全長96キロメートルの鉄道が走っていた。今はもう当時の鉄道の痕跡はほとんど残っていないが、アルガオの北にあるカルカルには石橋、駅舎の土台や、旧日本軍が作ったとみられる鉄道見張り台が残っている。
 また、カルカルの特産品は、市内のあちらこちらで売られているチチャロン(豚の皮を油で揚げたスナック)とカルカル・シューズだ。カルカル市はマニラ首都圏のマリキナ市と並ぶ「南の靴の都」としても有名で、靴展示センター(カルカル・シュー・エキスポ)には台車に載せられた、長さ7.6メートルの大きな靴が展示され、小さな町の呼び物になっている。
(文と写真: 橋本信彦)

ナビ・セブ第11号[Navi Cebu Vol.11]より

 Carcar Museum  カルカル博物館
   その白い建物はとても印象的。正面に見えるバルコニーのアーチには半円形の横木が使われ、カーブを付けた階段の手すりや小型の天蓋、銀線細工が施された木造部分の美しさが目を引く。

 インフォ Information
入場料 入場料は無料
開館時間 月~土  8am~12pm/1pm~5pm
住所 Carcar Square, Carcar City Cebu
電話 (032)487-7300

建物の中に入ると様々な展示があり当時の女性の衣類や農具カルカル音楽隊の楽器などを見ることができる 聖カタリナアレクサンドリア教会の古い写真2つある尖塔は現在も変わっていない完成に6年を費やしビザンティン建築様式の影響を残しているとされるいずれもカルカル博物館所蔵
町の守護聖人聖カタリナを祝福して毎年11月カルカル最大の祭りカブカバンフェスティバルが開かれる IMG 0480
カルカル学院オーケストラ図書室前で撮影 カルカル音楽隊の写真
Carcar Museum IMG 6558
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博物館のステンドグラスと窓

円形交差点ロトンダの女性像 IMG 0539
聖カタリナアレクサンドリア教会の内部
南の靴の都カルカル市の靴展示センターには長さ7.6メートルの大きな靴が展示されている

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