リゾートアイランド・セブのこだわり生活情報誌
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ボホールエコツアー

ハンドメイドの向こう側に触れる旅を

文・写真: JICA青年海外協力隊 後藤まどか 

cropted   日本で数年前から密かに流行っている、工場見学ツアーをご存知だろうか。飲料、食品、自動車など、製品が作られる工程を間近で体感でき、出来立ての試食や試飲ができたり、嬉しいお土産を貰えたりと、大人も子供も楽しく学ぶことができるとあって、教育現場は勿論、家族旅行や大人の職場旅行にも積極的に取り入れられている。勿論、モノ作りの現場において製品に興味を示す観光客が集まることは、受入側にとっても恰好のプロモーションであり、双方がメリットを享受できる仕組みが人気の秘密であると考えられる。
   昨今、巷はモノで溢れている。お金を出せばモノが買える。でも、私たちはその便利なモノがなくなったとき、壊れたとき、困ったとき、「どこで買えるか?」を最初に考えはしないだろうか?
  「なくなったら買えばいい…」。日本にいる頃の私は、それが常識、当たり前であった。しかし今、フィリピンの小さな町で生活をしていると、思うようにモノを買うこともままならない。マニラやセブのような大都市に行けば手に入るのだろうが、土地勘もない。いくらお金があっても、あの慣れ親しんだ便利さはすぐには手に入らない。
   そう思うと、よりよい生活を目指して先人たちが命を懸けて追求した便利な社会に、畏敬の念を抱かずにはいられない。それはまた、失ってはいけない感情であると私は思う。お金を出してモノを買うことよりも、そのモノがどのように作られているのか興味を抱ける人であり続けたい。そう、買えないと嘆くよりも、作りだせばよいのだから。

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 私が生活しているボホール島は、隣に位置する大都市セブに大多数の物流を頼る背景がある。インポート物に頼り、そこに価値を見出し、結果その土地ならではの特産品やデザインが発展しなかった、とも聞く。それでも少なからず、住民たちの間で先代から脈々と受け継がれている伝統がある。私が配属されているボホール州政府観光局では、ボホール島の先人たちの生活の知恵や伝統技術に着目し、その工房や作業所をエコツーリズムスポットとして紹介している。
   例えば、ロンブロンという植物の葉を乾燥させて均等に裂き、それをひとつずつ手作業で編み上げてかごバッグやマットを作る女性グループがいる。彼女たちの工房はボホールの離島に位置しているため、個人で行くには難儀だ。州都からバスや船を乗り継いで約2時間半、カビラオ島という島の穏やかなビーチ沿いに、「CROWN」と呼ばれるそのグループの工房がある。インターネットも普及していない、大きなマーケットもない、水も電気も不安定な小さな島で、漁師や大工の夫をもつ女性たちが日々の生活の合間を縫って家で編んだり、時には納品ついでに工房に集まって世間話をしたり、ランチをしたり、昼寝したりしながらひとつひとつ手作業で作り上げる。小さいものなら一日で編み上げてしまうというが、素人目では到底まね出来ない手業である。島ではお米を入れる道具として使われており、実に丈夫。また、使い続けると皮のように風合いが出てくるのも味わい深い。
   また、ボホール島の西部に位置するトゥビゴン町でもラフィアという植物の葉を織り上げる機織り工房があり、集落の女性たちの収入源となっている。州都タグビララン市からバスで約1時間半。主にランチョンマットや、テーブルランナーを制作しており、隣接した展示センターで製品を購入することが可能だ。工房内はカタンカタンと小気味よい音に包まれ、匠とも言うべき女性たちのしなやかな熟練の手業、経糸と緯糸が織りなす色彩に、私たちは目も心も奪われる。その技術を目の当たりにした後、隣の展示センターで製品を実際に手に取ってみると、これがひとつひとつ手作りであることに驚きと感動を覚える。作り手が時間をかけ丹精込めて紡ぎ上げたランチョンマットに、感服の念と愛着をもたずにはいられない。
   私たちはついつい忘れてしまう。大きなモールが軒を連ね、たくさんの服や雑貨、家具が飾られ、スーパーではたくさんの食材が所狭しと並べられる。時には、このモノの背景を考えてみてほしい。どこで、誰が、どのように、どのくらいの時間をかけて作っているのか?考え出すと、見える世界が違ってくる。日本の工場のような大規模で正確な製作工程の見学も面白いけれど、フィリピンだからこそ味わえる、手作りのモノの向こうにある作り手の温もりやストーリーを、このボホール島のエコツーリズムで感じてみてはいかがだろうか。

ナビ・セブ第13号[Navi Cebu Vol.13]より

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