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『俺はマニラのはぐれ商人』赤窄 勇著

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   フィリピン・マニラで商売する日本人経営者は少なくないが、この人ほどスケールの大きい浮き沈みを経験した人はいないのではないだろうか。著者の赤窄さんは今もマニラ首都圏に住む実在の人で、本書の著者説明には次のように紹介されている。
「35年前、初めてフィリピンに来て以来、おかしな魅力に取り憑かれ、日本料理店を手始めに、いろんな商売に挑戦するも、その度ごとに崖っぷちに追い込まれる。不屈の精神と、多くの仲間たちに助けられ現在にいたる」。
   とにかく、日本人がフィリピンで商売することの半端ではない困難さがひしひしと伝わってくる。著者はマニラ市エルミタの日本料理店「ふじやま」、「やまと」、「やきとりの店」を皮切りに、海のダイヤと呼ばれた深海鮫肝油「スクアレン」の製造・輸出やそれを原料とした健康食品の商売に次々と挑む。その間、ペテン師に店を乗っ取られそうになったり、持ち前の「山っ気」から山下財宝探しに手を出しかけて
   高い「授業料」をとられたりと予期せぬ出来事に何度も遭遇する。八一年にはフィリピンを訪問したローマ法王ヨハネ・パウロ二世からリサール公園特設ステージの最上段で聖体拝領を受けるという夢のような経験もした。カトリック教徒である著者の先祖は長崎の五島列島の隠れキリシタンで、著者は一時期、神学校にも在籍したことがあったらしい。
   著者の「希望と落胆」はまだまだ続く。二〇〇二年二月、「いつかパナイ島の郷里に学校を作りたい」というフィリピン人の奥さんとの約束がやっと実現した。日本の国会議事堂そっくりの学校用施設「国会擬似堂︵写真︶」が完成したのだ。小高い山のてっぺんにたつ壮大な風格の建物の周りは何もない田舎町の夕方のデートコースにもなった。さらには、米国ニューヨークの実業家を通じた無料通信サービスのカード販売など次々と新しい商売に挑戦しようとする。だが、事業が大成功と思いきや、取引相手や支援した日本人の裏切り、はたまた国をまたぐ大詐欺師の罠にひっかかり、見事に裸一貫に逆戻りする。

Hagure Shounin

   著者はこのとき、四十五年ぶりに教会に入った。何かを祈るわけでもなく、ただ椅子に座り静かに目をつむった。すると不思議に勇気がわいてきた。「七転び八起き、という格言はまさに俺の人生にもあてはまる。今回が四回目の転倒である。しかし、まだ七転びまではいっていない、まだおつりがあろる。もともと裸で出発した俺が、また裸に戻っただけなのだ。六十歳からが人生だ」。
   本書には、フィリピンで商売しようとする人だけでなく、この地で生きて行こうとする日本人にとっても大切な教訓が随所に詰まっている。中でもフィリピン人従業員から「パパさん」と絶大な信頼を受け、経営を手放そうとするたびに従業員から逆にはげまされる筆者の姿は、「心のきずな」こそがフィリピンでの大切な宝物だということを教えてくれているようだ。

赤窄 勇 (あかさこ・いさむ)
35年前、はじめてフィリピンに来て以来、おかしな魅力に取り憑かれ日本料理を手始めに、いろいろな商売に挑戦するも、そのたび毎に崖っぷちに追い込まれる。不屈の闘志と、多くの仲間達に助けられ現在に至る。マニラ在住。

『俺はマニラのはぐれ商人』赤窄 勇著 (樹芸書房・1,800円)
2009年6月15日発行

ナビ・マニラ第4号[Navi Manila Vol. 4]より

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