リゾートアイランド・セブのこだわり生活情報誌
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Hinay-hinay lang! ヒーナイ・ヒーナイ・ラン !

by ジャピーナッツ

   子供が小さい頃、よく熱を出していた。病院に行くにもまずは遠いし、経済的な問題もあり、すぐに連れては行けなかった。それにこちらの病院に行くのは元気でなければ行けないしね。とりあえずは解熱剤を飲ませ、しばらく様子を見る。近所の人や親戚には、必ず「ああ、もうすぐ歯が生えてくるから。」とか、「くじいたんじゃないの?」と言われる。どうやらこの辺りに住む乳幼児の熱の原因は、この二つしかないらしい。なぜ歯が生えてくると熱が出るのか、またくじいたりすると熱が出るのか未だにわからない。解熱剤を飲ませるとすぐに熱は下がる。しかし薬が切れるとまた上がる。病気の原因もわからず根本的な治療もしていないのだから当たり前なのだけど、3日くらいは解熱剤を4時間ごとに飲ませて様子を見る。それでも熱が下がらないとなると、ヒロットという伝統的なマッサージ師(?)のところに連れて行く。するとやはり「歯が生えてくる」か「くじき」が原因と言われ、植物の入ったココナッツオイルを背中に塗られる。本当にヒロットが効いているのか、単に3~4日が経過し自然に治ったのかは不明だが、だいたいはそれで良くなる。
   熱の原因である「歯が生えてくる」「くじき」に関しては、もしかしたらそんなこともあるのかもしれない、と思わなくもない。が、ある時、息子がおたふく風邪になった。ちょうどお正月明けだった。すると「ラッパの吹き過ぎ」だからおたふく風邪になった、とみんなに言われた。クリスマスや新年には、プープーとやたらうるさいラッパを鳴らす習慣があり、その年には、確かに息子もプープーとやかましく吹いていた。しかしおたふく風邪はウイルスで感染するんじゃないの?と、言ったら、いや、ラッパを吹き過ぎが原因だと、皆、自信満々におっしゃる。ってことは、年末年始には毎年、おたふく風邪患者が続出することになるのかい、と突っ込めば、その通りだと頷く。そして決して薬局ではなく、小さなサリサリストアに売っている青いクリーム状の薬をほっぺたにべったりと付けるのがよい、とされる。現におたふく風邪が流行ると、青いクリームを付けた子供たちがその辺を闊歩している。そんな薬よりウイルスを撒き散らすだけだから、病原体を外に出さないでほしい。息子も私が仕事に行っている間に誰かに、この青いクリームをつけられていた。効果のほどはまったく信じていなかったが、近所の連中があまりに信じているのでそのままにして病院に連れて行ったら、医者に鼻で笑われ、この時、私が住んでいるところはものすごく原始的なところだということを痛感した。
   あと扁桃腺の原因は「チョコレートの食べ過ぎ」というのもよく言われる。チョコレートというより甘いものを食べ過ぎると、喉が炎症を起こす、と一見、そうなの?と信じてしまいそうになるが、これまた真偽のほどはわからない。
   私は割と素直に信じてしまうタイプの人間であったと思う。そう、「~であった。」と過去形だ。何もわからず日本からやって来て、いきなりかなり原始的なコミュニティーで暮らすと、完全に自分の価値観が異端であり、常識的に考えられないこともみんながみんな「それが真実」と言えば、そうなのかなぁ、と思ってしまっていた。何度も何度もそんなことをを繰り返し、その度に、また信じてしまった、と後悔するのだが、またしばらく経つと真顔で自信満々で言われることには、もしかしたらそうなのかも、と思ってしまう、なんてことを十年以上も繰り返し、ようやく「そんなことはない。」ときっぱり言えるようになった。心の中で。
   ある時、久しぶりに会ったフィリピン人女性が、この頃、体調が優れない、と話していた。話を聞く限り、それは長年患っている糖尿病が原因と思われた。しかしその女性は、私に真顔で、「私、きっと誰かに呪われているのよ。」と言った。まぁ、この世界には、今のところ、全てが科学では説明できないこともあり、そういうこともまったく信じていないわけではない。が、とりあえず病気の原因である糖尿病を少しでもよくするために運動を勧めてみたが、その彼女は、「(ブラックマジックで有名な)シキホール島に行けば呪いは解かれるかしら。」と真剣に聞くので、「うん、たぶん。」と答えておいた。
   フィリピンには古くから言い伝えられている植物の薬がたくさんある。私が来た頃には、まだそういう植物もその辺の空き地で手に入り、よく子供が腹を壊すと、大量の葉っぱがおむつの中から出てきて驚いたりしたものだ。しかし最近では、そういう自然の植物も空き地がなくなったため手に入らなくなり、そういう知識を持った人も少なくなってきて本当にもったいないと感じる。
   日本でも話題になった「バナバ茶」。体にいいから、と言って一時、近所で流行ったことがあった。しかし苦いため、みんな砂糖をこれでもか、というほど入れて飲んでいた。却って体に悪いと思うよ、と思ったが、信じるものは救われるのかもしれない。

ナビ・セブ第11号[Navi Cebu Vol.11]より

 ジャピーナッツの自己紹介
   1999年1月に初来比。半年後に移住し2000年にフィリピン人夫と結婚し一族に囲まれたコミュニティーで生活をしている。高校生の頃からフィリピン人に間違われ、日本だけではなく世界中どこを旅してもフィリピン人に間違われていたので、フィリピンに来たことはおそらく運命であったと今は思っている。フィリピン人からは「日本語、うまいね。」と根本的な間違いをされるほど溶け込んでおり、最近では日本人と見破られると何だか悔しくなる。

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