リゾートアイランド・セブのこだわり生活情報誌
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マナーや習慣・文化

▶ [年配者と女性への敬意]

若者が目上の人と会った時には手の甲を目上の人のおでこの方向へかかげ「マノポ(お手を)」と敬意を表す光景をよく見かける。フィリピンはこのように年配者は敬われ大切に扱われる。そのことは「フィリピノ・ホスピタリティ」と呼ばれ、日本人の退職者がフィリピンに来る一つのきっかけにもなっている。フィリピンでは父母や祖父母の老後は若い人たちが責任をもって面倒を看るのが普通で、日本のように施設に預けることはしない。各自治体では60歳を過ぎた男女には「シルバーカード」が支給されて、飲食店の割引などの特恵が保証されている。満員電車でも目の前に女性や年配者がいたら席を譲って当たり前。女性も当然のような顔をしている。


 ▶ [プライド高いキャリアウーマンたち]

もう一つフィリピンで顕著なのは女性の社会的地位の高さである。フィリピンではメードという家事労働力に支えられた女性の社会進出が著しく、したがってキャリアウーマンが多い。ホテル、役所、企業を問わず、マネージャー職は女性が圧倒的に多い。彼女たちは学歴や学識同様プライドも高いので、乱暴な態度で接すると、ときに誤解されて問題になることがある。数年前になるが、マニラ空港でガルシア・セブ州知事(当時)の長女で弁護士の女性のお尻を、マナーを注意しようとして叩いたとして来比中の日本人男性が入国管理法違反(好ましからざる外国人)容疑で身柄を拘束され、傷害容疑で告訴されたことがある。男性の言い分は「叩いたりなどしていない」だったが却下された。


 ▶ [教会に行ってみよう]

フィリピンはアジアで最大のカトリック国。国民のほとんどがキリスト教徒でまめに教会に行って祈りを捧げる。どんな田舎町にも教会があり守護神がいて、毎年、それらに感謝する祭り(フィエスタ)が開かれている。フィリピンでは日常の生活と宗教は密接につながっている。ジプニーやタクシーのドライバーも教会の前を通り過ぎる時にはかならず胸の前で十字を切り、無事故を神に祈り感謝する。ボクシングのパッキャオ選手も試合開始のゴングと同時に必ず胸の前で十字を切る。子どもからお年寄りまで神と奇跡を信じ、教会のキリストや聖母マリア像の前でひれ伏して、ただ祈る。非キリスト教徒である大部分の日本人には理解しがたいが、フィリピンを真にわかろうとしたら、きっと教会で祈るフィリピン人の姿を見ればいい。多少とも「フィリピン」に近づけるにちがいない。


 ▶ [食事の作法]

フィリピンの人たちはスプーンとフォークを使って実に器用に食事をする。ナイフは使わない。スペイン時代にスペイン人が原住民にナイフ使用を禁じたためとも言われるが、きっとスプーンが実用的で「切ってすくう」のにいちばん使いやすかったからであろう。日本人のようにうどんのスープや味噌汁を丼に口をつけてズルズルと音を立てて吸うのは、フィリピンでは犬もしないような下品なマナーだったらしいが、最近では日本食の人気で、フィリピンの人たちもこれを真似するようになった。しかし基本は、スプーンで音を立てずに汁をすするのがフィリピンの正しいマナーのようだ。
逆に日本人がフィリピンでびっくりするのが「手で食べる」作法である。フィリピン語で「カマヤン」という。ご飯にシニガンスープなどの汁を掛けて人差し指から小指までの4本の指にご飯を載せて親指で押し出すように口に運ぶ。これはなかなかむずかしくて真似ができない。これができたらかなりのフィリピン通。きっと日本人が寿司やおむすびを指でつかんで食べるのと同じく、指で食感(触感)を楽しんでいるのであろう。エストラダやラモスなど歴代の大統領も庶民性をアピールするために率先してカマヤンのパフォーマンスを行った。
フィリピンのもう一つの食事のマナーは、「みんなで楽しく食べる」ことである。日本人なら一人がおかず3品、これに対してフィリピンならおかず山盛りの一品に対して3人がシェア、というスタイルが多い。会社のランチなどでも、数人がテーブルを囲んでおいしそうに食べているのをよく見かける。この「シェアする」というのは、あいさつ代わりに「クマイン・カ・ナ(ご飯食べたの?)」というフィリピン文化のソフトな部分に通じているのかもしれない。


セブのライス文化の代表プソッ編み込んだココナツの葉っぱの中に詰まったご飯
 ▶ [セブの食卓で、マニラにはないセブのコメ文化を体験]

セブには「プト」と呼ばれるバナナの葉っぱでくるまれた三角形のおにぎりがある。フルネームは「プト・マヤ」で、中身は炊きあがった餅米。マニラで「プト」と言えば米粉の蒸しパンを指している。値段は1個5ペソ(15円)くらい。「シクワティ」と呼ばれるカカオからつくられたちょっと苦味が残るココアを飲みながら、プトに黒砂糖を山盛りかけて食べるのが美味しい食べ方だそうだ。
もうひとつマニラにはないものが「プソッ」だ。「プーソ」は「心、心臓」の意味になるので発音に気をつけよう。プソッは編み込んだココナツの葉っぱの中に詰まったご飯だ。約2センチ幅のココナツの葉っぱを袋状に編んで、その中にうるち米を半分ほど入れ、そのまま鍋で煮て作る。この形はどことなくアンバランスで三角すいに近いのもあれば、それを上下に二つくっつけたような8面体のプソッもある。大きさは手のひらに入るほどで、食べるときは包丁で半分に切り目を入れてぱっくりと割り、そのまま手で食べる。バナナの葉っぱの香りがほんのりと残っていて美味しく、ご飯が詰まっているので2、3個も食べればおなかいっぱいになる。このプソッはカンティーンやバーベキュー屋台などで、吊されて売られているので「ハンギング・ライス」とも呼ばれている。値段は1個3ペソから4ペソ。食べることが楽しくなるような、そんなココナツおにぎりだ。セブに来たついでにぜひ試してみよう。

編集: 「ナビ・デ・セブ」 Navi de Cebu

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